『エクウス』を見に行こう
去年の夏の、初ミュージカル&生Randy@ブロードウェイ以来です。
5年間に渡るQAF撮影が終了し、絶対新しい仕事がすぐにあるはず!!と思ってた矢先に「Randyが舞台に出るよ!しかもエクウスだって!」という情報が飛び込んで来たのです。
エクウスってあのEquus?!昔映画見たよ、あの、あの…全裸シーンがあるんだよね?
一体マサチューセッツ州がどこにあるのかBTFとは何なのかも分からないままとりあえず行ける日の全チケットだけは速攻おさえたんだけど。
そこからが一番大変だったー。日本から現場までの交通手段&宿はどうしたら…
というわけでこれはEquusレポとかいう高尚な内容じゃなくて「村に行けば3日で3kg痩せる!」ないつもの追っかけ旅行記です。
⬇︎出演が決まった5月末の時点で、色々と日記に書き散らしたもの。
2005/07/20
日本からNYまで飛行機で約14時間。
そっから長距離列車アムトラックに乗ってAlbanyまで約3時間。
そっからさらに車で1時間。
やっとストックブリッジ村に到着したのは深夜でした。
ていうかアムトラックは普通に1時間ほど遅れてるし。
電車のダイヤがあんなに正確なのは日本だけだね。
車で迎えに来てくれた宿のお爺さんレイモンにサクっと村のメインストリートを走ってもらった時、深夜とはいえあまりに閑散としてるんで「思ってたとおり。てかそれ以上かも」としみじみした。
チケットを全部とってからBTF(バークシャー・シアター・フェスティバル)って??と色々調べ始めた。
www.berkshiretheatregroup.org
この辺は避暑地なんで夏の時期はNYとかBostonあたりからホリデイで来る人も多いらしい。
ストックブリッジよりも近所のタングルウッド音楽祭が有名で、そういえばKanさんも毎年泊まりで行ってるとのことだった。
で、ストックブリッジではとーぜん車がないとどこにも行けない。
なるべく劇場に近い宿。と思ってもなかなかない。
しかも宿の数が少ないから二ヶ月くらい前なのに予約がどこもいっぱいだったりする。
しかも足元見てるっていうかどこも高い!
NYのホテル並みじゃん!
しかもKanさんからは「ダウンタウンは1ブロックしかない。大体の店は夕方6時で閉まる。蚊が凄い。街灯がほとんどない」っていう情報!
昨年QAFロケ地探訪の旅で初めてB&Bに泊まりました。ホテルより安くて、その名の通り朝食がつく。そもそもこのストックブリッジという小さな村にはホテルが一軒しかなく、それ以外はB&Bのみ。
地図上では一番劇場に近い場所に位置する、とあるB&Bを見つけ、直接交渉(メールで)して宿泊予約を取りました。
うちら昼間はマチネ見るし夜公演も見るし終わったあともステージドア前にいるしなんだかんだ宿に帰るのが夜11時すぎだろうから、絶対飲まず食わずで痩せるね!なんて言ってたら。
ええ本当に痩せました。
2005/07/21
村の朝は早い。
B&Bの庭には毎朝リスやカージナルやあと全然見たこともない野鳥などがわんさかやって来ます。
自然を満喫。それに真夏とは思えない涼しさよ。爽やかだー、さすが避暑地。
宿は劇場から歩いて2分という最高のロケーション。
朝食の時にオーナー夫妻や他の泊まり客の老夫婦などに
「日本から何を見に来たの?」
「Equusって日本の芝居なの?」
「俳優さんに会うの?その人は日本人なの?」
と、初めての日本人客に飛び交う質問がすごかったです。
朝とか夕方はもう震えるくらい涼しい村。日中は暑いけどやっぱり都会と違って湿度がなくって凄い爽やかな風が吹きます。
みかける車はほぼBMW。ホリデイで来てる人も多いけど若者がまったくいない。ていうか村自体に若い人がいない。お年寄りばっかりなので劇場内のボランティアスタッフもお客さんもみーーーーーんなご年配の方々。
そして明らかにRandyファン(ていうかRandyが出るから見に来ましたよ!な客層)ていうのはすぐ分かる。
⬆︎このボードは劇場に入ってすぐのロビー(といっても10人もいれば満員になっちゃうようなロビーだったんだけど)にディスプレイされてたやつ。
Equusのスチール写真とあと文章でアメリカにおける psychotherapy(精神療法)の歴史とかが書いてあった。
⬆︎で、自分でも忘れてたんだけどこのボードの写真を見てたら「あ、ちゃんとこういう注意書きもあったんだー」って。
ドライアイスをたいたり場面の中でダイサート先生がAlanをリラックスさせようと煙草を吸わせるシーンがあったんで。
実際にRandyは喫煙者だからスパスパ吸うんだけどね(一本だけ)けっこう2列目あたりでばっかり見てた私はノンスモーカーとして「煙草くさい」と思いました。
そして干し草注意報。
セットで干し草が山積みになって、それがラストのクライマックスでばんばんなぎ倒されるから藁が宙に舞うんだよねー。
干し草の匂いもプンプン。干し草喘息という人もいるんだっていうことでこの注意書きがある。
そういえばずっと咳き込んでゲホゲホしてる人も多かったなー。
冷房のせいだけじゃなかったのかな。
⬆︎こういう感じでパネルがある。
さらに奥には狭いグリーンルームがあって(その奥にトイレ)7/15にはそこでギュウギュウになってオープニングパーティーがありました。
⬆︎kanさんによるアフターパーティーレポです。
中に入ると客席はこじんまりしてて某さん曰く「本多劇場@下北沢みたいな感じ」
70数年の歴史がある由緒正しい劇場なんでギシギシガタガタいってる。
床の傾斜も少ないので前に座高の高い人が座らないかけっこうドキドキ。
写真の左側、窓枠のところにあるベルが、開幕や15分間の休憩の合図です。
これを「カランカラン」と鳴らして「開演ですよー!」とやる。お年寄りがえっちらおっちら席に着くまでちゃんと皆待ってる。
感想など
Equusですが、イギリスの演劇なので出演者が全員英国風アクセントでセリフをしゃべってる。
もちろんRandyも。でもRandyの場合「I Can't」(アイ・カントになるのが英国風。ああQAF UKが懐かしいです)くらいしか。
たまーーに思い出したようにアクセントが違くなるけどそれほどハッキリ分からない。
ていうかアメリカの俳優がやるのに何でわざわざ英国人風に喋らないといけないのかがよく分からない。
舞台設定をアメリカにしたっていいんじゃないの?とか思うけどそれは素人考えなのかな。
そして事前に脚本を読んでおいたけど、舞台のセリフは一字一句違わない。
これもこういうものなのかしら。シェイクスピアとか、割と現代風とかにアレンジしたりするとセリフもちょっと変わったりするもんだけど。
もうしょっぱからRandyの何か取り憑かれたような後ろ姿で始まるんだけど、私はRandyの後ろ姿が大好きです(だからあとで写真を見ると後ろ姿とかうなじの写真ばっかりが大量に)
厩舎で働いていた17才のAlanが6頭の馬の目をくりぬいてしまったという事件で、彼の精神鑑定をする医師が心の闇を解いていくっていう内容。
日本でもよく上演されてるし30年くらい前には映画化されてるし、知らない人はいないでしょうな有名な戯曲です。
Alanは最初は医師に対して心を見せようとしないんだけども、やっぱり自身が一番苦しいわけで。救ってほしいと思ってるわけで。
徐々に過去を語っていく(自分と向き合っていく)過程はまさにRandyの独壇場で芝居が安定してて、見てて危なっかしいところがないの。
このテンションを保つのは大変だろうなーって感じ。
Randyが出て来るとグイグイ引き込まれるんだけど、ダイサート先生の超長セリフとかの時はマジで白目むくくらいの睡魔が私を襲う!すいません先生。
でも寝なかったぞ!あたりまえだ!
この時会場で爆睡してる人がいて。しかも雷のようないびきをかく!他のお客さんからも大顰蹙で「お前が馬だ!」とか言われており(笑)
その人さすがに劇場スタッフから「金返すからもう帰ってくれ」と追い出されてましたね。
しかし、まったくRandyという人は。
と驚くくらいの舞台俳優よね。
Wickedも楽しかったけど、比べ物にならんですよ。
劇場が彼の(Alanの)声で満たされるっていうんですか?パーンと張りつめる感じね。もし彼をまったく知らないでこれを見たら「この子は何者?」って思うんだろうな、誰もが。
1幕のラストは光と影のコントラストが宗教画のように奇麗でした。
はー(ため息)
休憩15分はさんでいよいよ佳境な2幕目!!
とうとう事件の起きた「あの夜」のことを話しはじめるAlanでして。
Jillとの厩舎でのシーン。おおお、スパーっと脱いだよ!全部!
なんかRandyはこの10日くらいで随分痩せたんだなー、あばらが浮いてるし。
だってお尻が痩せて小さくなってるんだもん!!!!!
やつれたお尻初めて見ました。左側にはなんか痣が。連日ハードなのね。脇のところが「ゲッソリ」って感じで細くなってて。ああ、早く元通り膨らんでちょうだい。
そして狂気の淵に堕ちていくRandyの演技と相まって、壮絶な雰囲気でした。
そういえば私は芝居のほうに夢中でタトゥをまったく気にしてなかった。やっぱりドーランで隠してたけど、うっすら見えたそうです。
迫力のラストは圧巻で、ぐーっと引き込まれていくー。
カーテンコールでは真っ白いバスローブで登場するRandy!これがまた普通の大人用だからかなりブカブカで、髪の毛もボッサボサになってました。
終演後は速攻ステージドアへ
出て来たRandyと写真をとったりとかします。
ラストシーンで毎回素足(っていうか全裸)で転げ回るので怪我が絶えないっていうことです。
肘とか足とか擦り傷だらけ。。。最初の何日かはスニーカーはいてたけどずっとビーサンになったのも足が痛いからだって。
一人でホテル暮らしかと思いきや村の中に家を借り、他の役者さんと合宿生活をしてると教えてもらいました。
だから移動の時は大体他の人と一緒の車なんだけど、赤ちゃんに話しかけたりしながらこの時は一人で車運転していったん帰ってました。
私達も夜の舞台まではお宿に戻って昼寝。てか他にすることもなくて。
村はノーマン・ロックウェルで有名なところなんだけどとうとう美術館にも行かなかったなー。
だって車がないんですよ。
徒歩で行ける距離ではないです。
昼食はいつもダウンタウンまで食べに行くんだけどやっぱり夜は帰りが夜中(ええ、村では11時すぎたら真夜中です)だからと思って日本からカップ麺とかつまめるものを持って来たのだ。ていうかこれなかったら本当に餓死してた。
そういえばマチネもだったけど、座席はあんまり埋まってない。
ネットでは週末なんかほとんどsold outになってたけど、実際はチケットは激しく余ってるっていう状態。
チケットが買えないからって来るの諦めた人がいたとしたら可哀想だな。
当日券がバシバシ売れ残り状態でしかも前の方の席が山ほど。
聞いたところによれば開演数十分前になると更に半額にして売ってたそう。
うーん、でも確かにこんな場所まで見に来るっていうのは相当なファンていうか。
去年みたいにブロードウェイでやるのとは全然違うもんね。
NYやBostonからだって車で3時間以上かかるんだもん。
ましてこっちは極東の地から20時間以上かけて来ました。まあそれだけの価値のある舞台だったんだけどね。
それにしても劇場内寒すぎ。冷房ききすぎ。そうじゃなくっても村の夜は「寒い!!!」っていうくらいだから、終わって表で待ってる時は手がかじかむくらいでブルブル震えてた(マジ)
上演時間約3時間の間にすっかり凍えてしまうのよ。なのに何でタンクトップ1枚とかで平気なのか皆さんは。
夜もRandy登場
ファンたちと写真撮ったりサインしたりお話ししたりです。
私は軽やかなフットワークでひたすら撮影してたんだけどいちおう念願の2shotとかは撮らせて頂きました。
Randyありがとう。
私たちに「はるばる来てくれてどうもありがとう」とともに「覚えてるよ」というありがたいお言葉が。
ありがたいっつーか、うあああーーーー!
⬆︎うりーさんがRandyにサインをもらうのだがペンが出なくて(白いし)Randy自身も自分の字がまったく見えず「見えないよ、見えないよこれ!!!」とパニクる。