日本語Tシャツ大爆発 1998年8月25號~9月1號
私の大好きな温拿樂隊(ウィナーズ)が結成25周年演唱會をやるという。
メンバーの歳からいって、これが最後になるらしい。
見たい!見たいのよ! 香港に行かなければ!
そんなに気合いを入れて航空券を買っても演唱會が8/24までじゃあねえ。
信じられません。何故きちんと調べておかないのでしょう。最後の最後で詰めが甘い。
8月25號 嬉しいやら・・
1蚊(HK$)=約18.7円
既に香港で暮らしているH太太からの電話は「やっぱりsallyさんのいってた温拿樂隊、8/24までです」
うん、もういいよ。
温拿樂隊が見たいわけじゃないんだ。凄く見たいけど。
香港に行きたいだけだもん。
そして私達の朋友、jijiこと玉仔。彼もまたミーハーである。この年の2月には私達より数日後に香港へ飛び鄭伊健演唱會に一人で行って盛り上がったらしい。
彼の当時の口癖は「ああ、僕も古惑仔に入りたいなあ」であった。今回は私達と同じ日に台湾へ飛ぶ。
最後まで「いいなー香港行けて」と言っていた。
じゃあ、君も香港にすりゃ良かったのに。なんでも直前に見た台湾映画『JAM』で台北の町に佇みたくなったらしい。
私達は今回初めての完全フリーな旅。
格安でとった國泰航空(キャセイ)のチケット、宿は重慶大厦に決めた!
三ヶ月おきの香港行きが経済的負担を増強。もうホテルに止まる金はない!
初めてのゲストハウスなのでナーバスになっているsally小姐、一応電話とFAXで宿には交渉&予約済み。あとは野となれ・・ですな。
重慶大厦経験済みの玉仔曰く「女の子のバックパッカーいっぱいいたから大丈夫」
ふむ、なんとかなるでしょ。
國泰航空機内で成龍(ジャッキー・チェン)の『我是誰?』を見る。
あああああ、機内アナウンスが廣東語だああああ、最高だー。
赤立角新空港はどでかく、そして綺麗だった。
最初で最後だと思うがエアポートエクスプレスに乗って九龍へ。
出来たばかりなのでサービス価格でした。
九龍站からは無料のホテル送迎巴士に乗り、九龍酒店までタダ乗り。タダなら何でも利用します。
さあ!重慶大厦へ入るぞ!入ってすぐのA座15階の百楽賓館へ・・・行くまでが大変だった。
かつてよりは減ったとはいえ、リュックを背負った旅行者が近付こうものなら来るわ来るわの客引き達。そのうえエレベターがなかなか来ない!これが重慶名物の超スローリー・エレベーターかあ。その間も客引きはしつこい。
来るのも遅いが乗っても遅いエレベーター。ゲストハウス到着。
「東京から予約した●●です!」オーナーと思われる太太登場。
「OK!but 今日はワンベッドルームで我慢して。明日は予約の部屋に移すから」
ええ?私達の予約したのは一応ツインなんだが・・一応彌敦道沿いの、一応ハーバービューなのだが。やはり予約の意味無し。まあ、ないもんは仕方ないね。一日くらい我慢しよ。
テレビ、クーラー、トイレ、シャワー、一応バスタブ付きで200蚊。
洗顔しようとするとそのまま便器に座ってしまいます。
我が家より狭い部屋なり。
窓の向こうもビルの壁なので日が差さない。
いや、窓が有るだけ有り難いと思えって!
*本日の零食*
許留山のマンゴージュース珍珠入り。20蚊。
*本日の晩餐*
H太太の住む太古城中心のフードコートにて。ごちそうになりました。
夜、TVBの「娯楽熱線」にて前夜の温拿樂隊演唱會の映像を見る。ちょっと得した気分。
「でも明日になっても本当に部屋移れるか判らないよね、この調子だと」・・・かなり暗くなるsally小姐。「快適なホテルライフしたいわけじゃなし、寝るだけの部屋なんだからいいんじゃない?」なのだが・・・。
どうする?どうなる?!
8月26號 お引っ越し
恐る恐る宿のメイドさん(中東系おじさん)に「今日、部屋変えてくれる?」と聞いてみる。
「はい、ここね」とあさっり引っ越し終了。
おおお、広い!ベッドが二つだ!冷蔵庫が有る!彌敦道沿いだから窓を開けると明るいぞ。腰まで身を乗り出せば(危険です)ビクトリア湾が見えるぞ。
何故か布団カバーのみで布団がないんだが・・暑いし、別にいいかあ。
*本日の電影*
実に半年後にやっと『九星報喜』
香港の戯院では、通常の上映時間以外に(主に朝、午後四時、深夜など)ちょっと前の映画をかけるという名画座的機能がありますが、今日の四時、楽富でやる!
行こう、巴士で!
そして、こういう半端な場所の半端に栄えている所が私のどツボである。
旧正月向けのアホらしくも御目出度い内容を真夏に見る。
昨日から町を歩いてて気付いたんだが・・・・。
みんな変なTシャツ着てないか?
日本語なのだが、どーもおかしい。意味が判るだけに気になる。
「サフカー」だの「頭が低い」「まき来て下さい」「大阪いくなら阪急電車」「イカ風味マヨネーズ」「三重放送 ボリショイサーカス」などなどがプリントされている。
道ゆく人がほぼ全員この調子だから、いちいち受けてしまう。
そしてだんだん欲しくなってくる。これだけ流行ってるから、もう何処へ行っても売っている。
かなり買ってしまいましたが、今にして思えば「ああ!もっと買っておけば良かったなあ!」と。
「カルビーかっぱえびせん」は「卞樂B蝦條」であります。でもって、右下「辛之味蝦條」は「SHICHIMI」とあります。「七味」=「辛之味」ってわけでしょうか。
左:これはどこが日本語?!な廣東語四字熟語Tシャツ。
「うわー!もーダメだー!と思ったけど、何とかかんとか助かったわい」という意味であります。
後日、日本の新聞でもとりあげられていた。
*本日の零食*
すっかりこれに凝ってしまった、珍珠ドリンク。 ぶっといストローから「ずごずご」っと上がってくる食感。たまりません。もぐもぐ。台湾からやってきました。
楽富戯院にもあった体重計。しかも大概が有料。この事について香港人に訪ねても納得いく答えを得られないのだ。
「何でそんな事聞くの?」「知らない。どーでもいいじゃない」だって。
で、廣州では街頭にて「あなたの身長体重計ります」という商売をしてるおやじを見た。自宅で体重を計る事がないのかなあ。それでかなあ。
この日念願の八達通卞(オクトパスカード)購入。今みたいに巴士やフェリーでは使えなかったけれど、便利便利。小銭を必死になって貯めなくていいなんて。
8月27號 風雲
sally小姐は朝一人で粥と新聞を買いに行くようになる。私が起きると朝餐と蘋果、東方が。
昼は果物屋だが朝は粥、麺などを売っている店があるという
(私は昼過ぎしか知らないんだが)ここで出勤前の会社員達が並んで朝餐を買ってるそうだ。
「色々種類があるみたいなんだけど、忙しそうだから気後れしちゃってあれこれ言えないんだよねえ。私、廣東語も喋れないし」
で、一度粥かと思って買って来たら豆乳だった。という事もありました。
何故だかとっても流行ってる映画があるらしいので、見る。
*本日の電影*
銅鑼灣、紐約戯院にて『風雲』。
満員御礼で、30蚊。太っ腹!!
この時初めてコンピューター発券の戯院で見たな、そういえば。
←ね、券の座席指定が手書きじゃないでしょ。
⬆︎8月28號(星期五)蘋果日報
この時期、日本語Tシャツに混じって「風雲」Tシャツも多数見掛けたが、結局購入せず。後にこの映画が日本公開された際「あん時の風雲Tシャツを着て見に来たかったああああ!」と激しく後悔。
アクションが凄いというよりも、CGが凄い映画。
そして郭富城の腹筋の美しさに惚れ惚れし、滝の水圧で「パンツが脱げるんとちがうか?!」とハラハラどきどき。(何処見てるんだい)
*本日の零食*
この時はまだ大流行だった澳門安徳魯餅店の蛋撻。パイ皮サクサク、具はプリプリ、旨かったのになあ。流行る勢いも凄いが、廃れる勢いはもっと凄い香港。
8月28號 最低最悪
昨夜の夜更かしがたたって、朝は使い物にならなかった。ぐーたら。
*本日の午餐*
5月に行って気に入った厚福街の牛記麺家にて。
あの丼ごと蒸してあるのは「原jung蒸飯」と言うんだ。それのham蛋内餅飯18蚊。
亜熱帯の香港の夏は熱い。
判っていたつもりでもこの湿度は堪え難いものがある・・。部屋を出る時、冷房をつけっぱなしにして行く。
だが!帰ってきたらスイッチが切れてるうえに、入らない。冷房がなくてはここの夏は乗り越えられない!壊れたか?!と焦っていたら、宿のオーナーが電気代節約の為片っ端から電源を落としていたのだ。どーもすいませんねえ。
しかし、熱い熱いといって汗を流しているのは私達くらいで、重慶大厦の印度、中東、アフリカ系の人々は涼しい顔をしている。汗もかいてないし。
重慶1F(日本でいう2F)の印度雑貨屋をひやかしに行ったら何か異常に熱い。
外より熱い。店の前に立つと凄まじい熱風を浴びる。もしかして、彼等は暖房を入れているのか?!
答えは冷房の室外機が室内にある為(通路に置いてあるから、自分の店内は涼しいだろうが歩く人間は熱風に曝される)でした。
自分の汗臭さに目眩を感じる程汗をかく。Tシャツ洗っても洗っても追い付かない。
外を歩いていて「まるで私の背中に小泣きじじいがいるようだ」ってくらい体が重くなると、その直後にスコールが降る。こんな風に湿度を体感出来るなんて・・。
そんな重い体を引きずってでれでれ歩く。太子方面をうろついた後は映画です。
戯院の隣の茶餐廳で
*本日の晩餐*
牛丸麺22 蚊と油菜。牛丸が恐ろしく弾力があり、噛み切れないよ。
その隣の金聲戲院で見ました『超級整蠱覇王』
これが全然面白くないんだ。あまりのギャグのたるさに寝てしまいそうになるんだが、戲院が古いので椅子が固くて眠れない。笑う事も出来ず、寝る事もできない地獄のような90分。途中で帰ればいいんだけどね。
陳百祥が「雲」、葛民輝が「風」に扮した『風雲』パロディシーンだけが唯一ウケていた。やはり雷頌徳の出ている映画はこけるのか。(←暴言)
王晶なのになあ。っつーか、これが王晶映画の醍醐味かもしれない・・・・。
8月29號 行ったり来たり
中環からトラムに乗ってのんびり電車の旅。
終点の堅尼地城まで行ってみよう。
逆の終点、北角で下車。
一度気に入ると、何もなくてもふらふらしたくなるんだな。
上環は乾物屋がいっぱい。この匂いがたまらなく好きです。
トラムがすれ違う瞬間。触れるくらい近いのだ。香港のこの「距離感」が好きです。
右側は埋め立てられた所。昔は海沿いギリギリをトラムが走っていたそう。
かつて漁村だった堅尼地城(ケネディタウン)。そろそろ終点。
ここからまた折り返し、北角行きのトラムに乗って。
終点の北角、春央街に到着。線路の脇のギリギリまで露天が並ぶし、人もかなりマイペースで歩いている。このトラムののろさがいいなあ、と更に感じた時。
北角、春央街の終点に到着。
行ったり来たりで1時間弱。次は北角の先の終点まで行きたいなあ。トラムは歩く早さだからいいんだな。
8月30號 ドラゴンジェットコースター!
*本日の朝餐*
興發茶餐廰にて。是日[青見]粥(今日のお粥)=皮蛋と鶏絲+油條で16蚊。
魚蛋河18蚊。
昼すぎから巴士で太子へ。太子から歩いて深水埗へ。西九龍中心のジェットコースターに二回乗る。
素晴らしいです!深水埗!
これほど私の心の琴線に触れる町はないぞ。都電荒川線の三ノ輪を彷佛とさせます。
三ノ宮高架下(新開地寄り)の店を思い出します。
路上に広げられたおやじ達の露天は、マニアな方でも躊躇するであろう品揃え。
扇風機の羽根だけ(欠けている)、 剥き出しのLPレコード(割れている)、 片方だけの靴(破れている)、 鍋の蓋、 この先決して動きそうにないラジカセ・・。 だが、売る方も買う方も結構真剣だったりして。
⬇︎婆さん達が集まって何かやってる・・と思ったら、盂蘭盆の供養でした。紙の供物やら、線香やら、がんがんと燃やしている。
鴨寮街は電化製品が主流だが、深水埗は衣料品の問屋も多い。
ここは布地の卸問屋街。
看板がシンプルで白地に赤。
そういえば上環の乾物屋もそうだった。
⬆︎深水埗から太子に行く途中で見つけた建物。
「春生雷」の文字が見えますが。ほとんど朽ちかけているけれど、GF(日本でいうところの1階)ではまだ商売しています。
廣東省でよくみかけるこの建築様式は「騎樓」といって、19世紀頃から有るものらしいです。「ひさし」付きなのでこの下を歩いていれば雨にも濡れない。つーか、この下では傘をさしてはいけないという法律があったそうだ。
「騎樓」の、ひさしの下は「騎樓底」と言います。
「騎樓」の名残りは、現在の香港の建築物全てに見られる。
15蚊でこの感動をあなたにも!西九龍中心、ここはかなりのビッグな明星がイベントをやるのでも有名。あなどれない、西九龍中心。
U2やジョルダーノなどが入った、なんてことないローカルなショッピングセンターのふりをして!ここの目玉は吹き抜け最上階を突っ走る天龍過山車(ドラゴンジェットコースター)アイススケートリンクや、フードコートの真上を疾走する様は羨望の的。
私もあれに乗りたい!
いい大人で乗ってるのは子供の付き添いの親だけ。
あまりに興奮して笑いが止まらず、後ろに乗っていた小学生に笑われる。ははは。 いつ落ちるか、止まるか、ちょっとドキドキ。
深水埗から佐敦まで歩いて帰る。疲れるんだけど、確かに。
でも歩くのが好きなんだな。
*本日の電影*
銅鑼灣、紐約戲院で『B計劃』
先行上映だし(だから高い!55蚊!)土曜の夜だしで、今まで香港で映画見た中で一番込んでたわあ。
で、爆破シーンで「うわー!」銃撃シーンで「おおー!」と周囲のノリの方が楽しい。後に日本公開された時も見たのだが、あー、あれは香港で見たから面白いと思えたのねえ・・と。
*本日の零食*
天后廟の前にある源記にて。
芒果布甸14蚊。どこよりも旨いです、ここのは。
糖水って甘い物が苦手でも食べられるから不思議。ちょっと疲れた時、ちょっと食べたいなーと思う。
*本日の晩餐*
重慶大厦1F(日本でいう2F)の印度餐廳SHER-E-PUNJABにて。
お持ち帰りにして部屋で食べました。
チキンマサラ25蚊。
ナン6蚊。
サモサ3蚊。
あと、生の玉葱と、黄緑色の謎の物体(大蒜のすりおろしか??辛い)がついている。
感動の味。やはりカリーは重慶でしょう!ナンも焼き立てなんだよう!
サモサは作ってから時間がたったもののようで、油が染みすぎていまいち。
8月31號 再見!中巴
中環交易廣場にて。
カメラ小僧続出。ピークに達したのはこの日の深夜。最終便にわんさか乗り込んだ人々が狂喜乱舞(?)するさまがニュースで報道されていた。
今日で中華巴士がなくなる。
それまで見向きもしなかったのに、なくなる、となると手のひらを返したように騒ぎ出す。まるで啓徳空港の時みたいだ。
便乗するわけじゃないが、私達も今日は中巴との別れを惜しむか。
誰もがにわか中巴迷になる日。今どきこんな小汚い巴士あるかいな!と思って乗っていたのに何か愛着わいてきたりして。
1998年8月31號。
65年の歴史をもつ「中華巴士」が香港の町から姿を消す。
たまたまこの時、香港に滞在していたお陰で中巴最後の姿を見る事が出来た。
中華巴士撤退後、その路線を走るのが「新巴」こと新世界第一巴士。
全車両冷房完備!オクトパスカードも使えます!
しかし!9月1號に私達が見た物は「新巴」のステッカーを貼付けて走るオンボロ中巴であった。爆笑。
9月1號 昼から大雨
外にでるのが嫌。
*本日の午餐*
昨夜と同じ印度餐廰にて。
初めての重慶大厦、初めてのゲストハウス。本当に寝る為だけの部屋だったから、例え掃除してくれなくとも、例えシーツ交換が3〜4日に一回でも一向に気になりませんでした。
なかなか清潔な宿でしたよ。オーナーの飼い犬が人の部屋の前にう●こさえしなきゃね。
本当に暑かったなあ、夏の香港。食って歩いただけの旅も終わる。
肩に食い込むバックパックがずしりと重い。巴士で空港へ向かう。
車窓に叩き付けられる大粒の雨。別れを惜しむ気分になってくる。
また来たいな、また来れるかな。