DoubleMintGum

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香港の戯院

香港電影資料館

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香港西灣河鯉景道50號

(MTR西灣河A出口より徒歩約5分。バス、トラムでも可。香港街道地方指南75頁、
F-7参照のこと)

2001年1月4號、かなり前から話だけはあったがいつ出来るのか!?と映画ファン待望の資料館が遂に開館した。
毎年開催されている「香港國際電影節」で、アジアの個性的な作品を紹介し続けていたプログラム・ディレクター羅卞氏が中心となって設立した。香港においても普段見る機会のない貴重な映像資料の宝庫となることは間違いない。

私が行った時に開催されていたのは、1950〜60年代の香港映画の特集。
『笑聲、歌聲、紅星』と題し当時の廣東語作品の中から「喜劇、青春物、ミュージカル」の秀作を集めた企画。(この際の上映は週末(金・土・日)のみだった)字幕は一切なし、でした。
 蕭芳芳(ジョセフィーン・シャオ)、陳寶珠、謝賢、沈殿霞といった、現在でも活躍中の大ベテランたちの若い姿を見るだけでも楽しいのだが、この時代の映画が、今の香港映画の監督たちに与えた影響は大きい(王家衛しかり、劉鎮偉しかり・・・)
単なるノスタルジーや一過性のブーム以上の、何かがあったはずだが、残念ながら今まで香港ではこういった「自分達の足下の文化を見直す」という事をあまりしていなかったと思う。外国の香港映画ファンにとって、それこそが大きな障害だった。当時の映像を見るには、TVで深夜から早朝に垂れ流しにされている「粤語長片」しかない、というあまりにお寒い状況だったのだ。あとは'60年代に香港ロケで作られた日本映画の数々などを見て、当時の文化風俗を覗いていたくらいかな。

'97前後の回顧ブームにのって、多少は見直されてきた感じもしたが、キチンと使える資 料を(私みたいな)一般の映画ファンが入手するには、道はあまりに険しかった。

休館日 毎週木曜日、旧正月二日間。
各施設の開放時間については以下の通り。
1Fロビー 午前10:00~午後8:00。映画上映終了後15分間。
チケット販売  午後12:00~8:00。最終回の映画上映開始から30分間。
資料センター 月曜~金曜午前10:00~午前7:00 土曜午前10:00~午後5:00。
日曜、祝日午後1:00~5:00。
展覧ホール 入場無料。ただし、映画上映などのイベントのある時だけの開場なので プログラムの詳細は問い合わせを。
月曜~土曜午前10:00~午8:00。
日曜、祝日午後12:00~8:00。
映画上映 入場料20HK$。チケットは資料館内の販売所にて。 尖沙咀の香港文化中心などでチケット及び関連イベントのカタログの購入も 可能。

上映プログラムと連動して、1F展覧ホールでは『五十、六十年代的生活方式-衣食住行』を開催。当時の一般 的な(貧しい)香港人の生活を、映画のセットのように再現。
当時を懐かしむ風の老人、新鮮に受け止めてる感じの若い子たちがチラホラ・・・賑わってはいなかったんだなー、やはり。  

また、日程が合わず参加は出来なかったが、映画上映後、黎文卓氏(粤語喜劇研究家)や羅卞氏、陳任氏(作家)などを講師に迎えて、電影講座も(講座使用言語は、廣東語のみ)四回開催されていた。こういう企画今後もあるといいなー。  

映画上映のホールは意外とキャパが小さいので、油断するとチケットは売り切れる可能性あり。プログラムの内容次第では混むかもしれないし、事前に前売り券を発売する時もある。無駄足を運びたくない、どうしても見たい作品がある、という人は問い合わせをするなど多少の下調べはしておいた方がいい。
(案の定、2001年の香港国際映画祭の時は、ここのプログラムの前売りはほぼ完売。見られなかった日本人迷が多数いたそうである)

資料センターは一言でいうと、赤坂の国際交流基金アジアセンターみたいな雰囲気。
映画関係の書籍資料の閲覧もできるし、パソコンも使える。時間がなくてあまりゆっくり見なかったのだけど、どうやら視聴覚資料をブースで閲覧するには「鑑賞券」を申請、購入する必要があるらしい。
費用は一年間有効で300HK$、一日有効で50HK$。うーん、まめに行く人は年間パスを買ったほうがいいのかな。
 西灣河、ここもこれがなければ行かなかったであろう。何もないといえば何もない。しかし、電影資料館を背に海に向かってふらふら歩いていると水上警察署があったり、フェリーの行き先が調景嶺だったり(ま、今行っても国民党の村落はもうないのですが)三家村だったりして、こんな風に時間を費やすのがお好きな方には(それは私・・)お楽しみスポットであると言えよう。

 

粉嶺戯院

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 (KCR粉嶺下車徒歩約10分、または駅前のバス亭から52K,53K,54Kのミニバスで終点まで。香港街道地方指南101頁、D-7参照のこと)
「なぜ○○くんだりまで行って映画を見るのか?」
永遠にこの質問を受け続ける事になりそうだが、今回は本当に「わざわざ」粉嶺に、映画を見る為に行ってしまった。
 2001年1月30號、紅館(香港體育館)にて郭富城演唱會を見まして、大変ゴージャスな「歌謡ショー」でありました。最高だった!
「踊る印度スター」のごとき郭富城を是非とも銀幕で見ようではないか!!今、何かやってない?あ、あるある、ホラ、藤原紀香と出てるあれ。でもこれ去年の聖誕節の映画やーん。もうやってないよなー・・(と、新聞を開く)あった「粉嶺でだけやってる」

 

 1月31號。KCRを降りるとそこは田舎だった。道は広く、空は高く、人も車も少ない。駅前に置かれた自転車の多さも尋常ではない。
連れは「香港に来てこんなに自転車見たの初めてだ」としきりに感心。
駅前に「粉嶺名都戯院」があるが、騙されてはいけない。我々の目的地はここではないのだ。ここではタイムリーな旧正月香港映画を2本上映中だった。

とにかく真っ直ぐ真っ直ぐ歩いて、左にちょっと入った所が聯富街だ。

粉嶺戯院・・そこは一瞬、倉庫?それとも資材置き場?と思わせる外観。
正面に回ろう。通常は現在上映中の作品を大々的にアピールするものだが、以前上映していた作品の看板を白く塗りつぶしその上に街頭ポスターを貼ってみました。如何?

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とりあえずチケットを買わなければ。

唔該、『雷霆戰警』2枚。お一人様30HK$也。
通常ならばここで「幾點呀?(何時の回を御覧になりますか?)」と聞かれるのだが、既に一日一回PM2:30からの上映のみ。チケット売り場の隣には、3〜4脚のパイプ椅子が置いてある。どうやらこれがこの戯院のロビーらしい。 

上映までの間この街を散策してみた。小さいながらも栄えていて楽しい。ショッピングセンターで買い物をする連れに「きゃー!外国人だー、どうしよう!」と動揺し、照れまくる店員が可愛い。初々しいなー、君ぃ!!
物価は大角咀より安い。時間がゆっくり流れている。国境に近いせいか、町中に軍人、警察の姿が目立つ。
 戯院に戻ると、さっきまでロビーでだらだらしていたオヤジが「随便座!(好きな所に座って見な)」とチケットをもぎってくれた。
  あんた、ここの職員だったんかい?!中では既に一人の男が爆睡している。典型的な香港の古い戯院で、椅子が非常に固い。上映前から尻が痛くなる。
 「トイレに行きたい」と、連れは言うが、場内を見回してもトイレが見当たらない。私も行きたいので、さっきのオヤジに聞いてみると、客席を出て少し離れた所にあるトイレまで案内してくれた。
ニ階にあるトイレの隣の部屋がやけに騒がしい。映写室の中で(多分)映写技師の方々が博打をなさっている御様子。トイレに紙は有ったが、水が流れない。流れる所や流れない所が有る。私はハズレだった。
 席に着こうとすると、オヤジが「台湾人か?」と聞いてくる。「唔係。日本人でーす」「え、本当?!じゃ、日本語でコンニチワとアリガトウを教えてくれ!」
3分間日本語講座を済ませると、場内には私たちを入れて6人程の観客が集まっている。しかし、見ていた限りではちゃんとチケットを提示して入ってきたのは4人。あとはどうも職員及び関係者である。

いきなり暗くなり、いきなり映写された。

予告、CMなしで本編上映。画面が暗いが、薄暗いシーンなんだなー・・って、あれ?スクリーンの上から約三分の一がカビているのか、または汚れているのかで画面が暗くなっているのだった。後方の映写室からは相変わらず怒声、罵声が響いてくる。これ、上映中もずっと続くんだろか・・。
「香港天王」郭富城のアクションも、「日本性感女神」藤原紀香の半乳、太もも丸出しも何処吹く風か・・観客は各々、切れ目なき喫煙、携帯電話での長話、いびき、爆睡、雑談に余念がない。特にシーンとしたシリアス場面でのいびきの爆音はタイミングが良すぎて大笑い。
一体、私たちは『雷霆戰警』を楽しみに来たのか、粉嶺戯院を楽しみに来たのか判らなくなってきた。


 とかなんとか思っているうちに上映終了。香港の戯院は大抵最後のテロップまで見せてくれないものだが、ここも早い!ラスト・シーンになった所でブチッと切った。(最後テロップとともに流れるNGシーンが見れなかったのだ)
 振り向くとそこには10数人の観客。
あいや、いつの間に。
彼らは件の映写室のオヤジたちである。そういえば後半、映写室が静かになったと思ったら見に来てたんだ。チケット売り場のおばさんもいる。あー、楽しかった。

 チケットもぎりオヤジはまた「香港には旅行で来たのか?」とニコニコして聞いてくる。
「そう、5日後に帰る。ここに日本人が映画見に来る?」
「来ないねー。映画楽しかった?」
「もちろん楽しかった!!!(映画館が)」
「好!See You Again!」
おいシーユーアゲーンかい?!面白すぎるぞ、粉嶺戯院。もうこんな所に来ることは二度とないだろう・・と思っていたのだが、帰路のミニバス車中で呟いてしまった。 
「また来てもいいなぁ粉嶺なら」

その時まで、あるといいけど、粉嶺戯院。