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映画『レッツ・ラブ・ホンコン』(原題:好郁)

『レッツ・ラブ・ホンコン』(原題:好郁)

第17回福岡アジア映画祭 2003年7月12號
監督:游静ティーチ・イン (特別鳴謝。録音/資料提供:F田小姐)

 

あらすじ
 主人公ZEROは、住所不定、定職なし。Chanは、いつか両親に家を買ってあげようと、日夜ポルノ系Webサイトでサイバードールのモデルをしている。Nicoleは「女強人」としてばりばり働いている。
 交わる接点のないはずの三人の女が、それぞれの思いを空回りさせる。

 

游静 福岡アジア映画祭の招待を受けまして、この美しい都市福岡に来る事が出来て、心から感謝しております。そしてこの映画祭の全てのボランティアスタッフが非常に苦労しながら、真心と誠意に満ちた映画祭を開催して下さっている事に対し、感謝の意を表します。ありがとうございました。

質問 映画全体としては好きなのですが、自分にとっては衝撃的な場面があった、とも感じました。質問ですが、ZEROという女性は年齢は30ちょっと前というのが出てきましたが、あの人は何をやって生活をしているのでしょうか?それと映画全体の最後が、非常に突き放されたような気持ちになりました。監督さんは、あの後の展開という事について頭の中にはおありなのでしょうか?観客にあえてそれを伝えて頂ければ幸いです。この映画を通して監督さんが伝えたい「メッセージ」みたいなものが込められているのか、を伺いたいです。

游静 ZEROという女の子が何をして生活しているか、について先にお答えします。彼女は様々な仕事をやっていまして、皆さんも(映画の中で)見られたと思いますが例えば携帯電話を売っていたり、夜、青果の荷積みといった肉体労働をしていたり、短期アルバイトのような感じでやっています。香港の若者はこのように色々な仕事をアルバイト的にやっている人が多くて、例えば1980年代末経済状況が非常に良かった頃は、セールスの仕事は大変稼げたので皆そのような仕事をやっていました。ただ90年代半ばくらいから経済が落込んでくると、何をやっても生活しにくくなってきて、様々な仕事に就いてとにかく出来る事をやる、という感じになっています。ZERO役をやった「小黒」という女性は元々役者ではなく、この映画を撮る前も電話を売ったりという、ああいう生活をしていたそうです。映画の撮影が終わった後も、今は不動産販売のような事をやっているようです。彼女は中学(香港の中学は6年制で、日本の高卒にあたる)を出ていない為、学歴がありませんのでそういう色々な職業をやっている、という事です。
二つ目の質問ですが、それが一番難しい答え難い問題だと思います。私には、いわゆる生活はドラマである、という考えがあります。生活自体には終わりがない、結末がないので、私自身が好きな映画には「結末」がないものが多いです。色んな部分を皆さんは想像出来ると思いますが、あえてその部分を「結末」として描かないで、想像の余地を残したいという事です。

質問 今、ZEROという女性がプロの俳優ではないという事をお伺いしたんですけれども、キャスティングについて、他の役者さんのキャスティングのきっかけですとか、それから彼女達がプロなのかそれともアマチュアなのか。どういう経緯でキャスティングをしたのか教えて下さい。お願いします。

游静 今回出ているキャストはほとんどがアマチュアです。ただ一人、Chanのお母さん役をやっていた人が、テレビドラマには出ていますけれども、映画は初めてです。その他の人達は全てアマチュアです。まずZERO役の彼女とは、バーで飲んでる時に知り合ってハントしました。Chan役の子、彼女はビデオ映像の勉強をしていたんですが、私がそこで教えたりした時に知り合いました。Nicole役の彼女は、舞台をやっている人です。

質問 何度か映画の中にキリンが出て来るんですけども、そのキリンが象徴する意味などを教えて頂きたいと思います。

游静 この質問は絶対に出るから、よく準備しておかなければいけないと言われました(笑)
最初に台本を書いた時から、このキリンというモチーフは使っていました。ですから非常に重要な部分だと言えます。映画の中には、現実主義の部分と超現実主義の部分があると思います。現実主義の部分は普通の映画と一緒で、具体的に描写されるんですけれども、私は全てがこの現実主義で描写されたものがあまり好きではありません。ですから、超現実主義(非現実主義)のという部分がとても重要だと思っています。この映画の中にはいくつかそういうものを成分として入れてあるんですが、例えば香港には地震はないんですけれども、地震に関するニュースの部分を入れました。キリンもそうした非現実主義の部分として入れたんですが、登場人物たちの関係のおかしさ、悲哀を表わす時にキリンのシーンを入れました。

司会 そのキリンのシーンがありましたけれども、中國の映画の中にはよく『野生の王国』みたいな動物ドキュメンタリーが沢山出て来るんですね。中國の人はそういう動物ドキュメンタリーが好きなんでしょうか?うちで上映した中でも3~4本、『野生の王国』みたいなのが出て来たんですけど(笑)

游静 中國の映画の中に、本当に動物が出て来るかどうかというのは、ちょっと・・・・判りません(笑)中国人が動物好きかというのもハッキリとは判りません(笑)私は全部の動物が好き、というわけではなくて、特定の動物が好きです。私自身はキリンが好きです(笑)

 

後日談

 このティーチ・イン終了後、ロビーで游静監督を発見したF田小姐、通訳さんもいたので声をかけてみたという。以下、このような会話をしたとか・・・・。

F「崔子恩を知っていますか?私の友人(←わしだよ・・・・(^^;))が彼の作品を研究しているんですが、日本で見る事が難しいです」

游静「海外のレズビアン&ゲイ映画祭に一緒に行った事がある。日本でこういう映画を見たいならアップリンクファクトリーに連絡をして、アプローチしてみたら?」(←と言われたんでしてみたんですが(^^;)ダメみたいっす)

F「影意志を知ってますか?」

游静「そこの人間は皆友人です」

F「香港におけるセクシャルマイノリティーの状況はどうなんでしょう?実際とても保守的な社会なので色々問題があると思うのですが」

游静「あなた、どうしてその質問をさっきしてくれなかったんですか!!」

F「(だって何回も質問しちゃ他の観客に悪いと思ったんだも~ん)日本にもレズビアン&ゲイ映画祭があるんですが・・・・」

游静「その映画祭ではレズビアン作品も上映されるの?」

F「はい」

游静「私の映画をそこで最初に上映して欲しかった。是非言っておいて下さい」

 

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⬆︎左:陳役の黄頌青/右:游静。

游静 香港大学出身。現在は香港工芸大デザイン系の助教授をしながら、映像作品、評論などを発表している。 1999年の作品『Suet-sin's Sisters(原題:雪仙的妹妹)』はソウル・クィア・アーカイブで上映された事もある。今年の台北での「女性影展」では、彼女の全作品が上映された。またZERO役の小黒ことエリカ・ラムは、昨年の台湾金馬奨で最優秀新人賞にノミネートされた。

⬇︎追記:この数年後に日本でも公開されました!

sisterwave.exblog.jp

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