DoubleMintGum

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映画『ベンゴ』

ベンゴ』(2000年/スペイン、フランス)

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 これは集大成か?!今までよりもシンプルなストーリー。故に際立つのがフラメンコの歌、踊り、音のパワーだ。

       

15、6年前にアントニオ・ガデス(フラメンコ・ダンサー)の映画『カルメン』『血の婚礼』に感動し、来日公演も見た。ガデスの、舞台に登場しただけで鳥肌が立つ洗練されたストイックな魅力とはまた違うフラメンコの匂いがある。
冒頭で、印度からスペインまでの「道」を音楽セッションだけで表現してしまう力技!しかしこれ以上に説得力のある表現があるだろうか。否。
主演のアントニオ・カナーレスもまた有名なフラメンコ・ダンサーであるが、彼は映画の中で踊らない。なのに彼の体からリズムを感じたし、普段着で、飲んで朝まで歌い踊る人たちを見て(決して薔薇の花と衣装でフラメンコが成り立つのではない)朝鮮や琉球を感じた。
今回も出演のほとんどがダンサーやフラメンコのミュージシャンで、役者としての「プロ」はあまり使っていない。彼等が見せる何気ない踊りや演奏が凄い。凄いのに「普通」なんだよなあ。

以前、タミル語映画(印度映画)を見ていたら主演女優のショーバナが、洗濯しながら川の流れる音を聴いてリズムをとっていた。『ベンゴ』では、木の枝が風に揺れる音を聴いて「歌」を感じるというシーンがあった。なんて繊細な感受性。
酒場でマリア・ラ・コネーハが「ラブ・ユー東京」を(もちろん日本語で)歌うシーンも大好き!!気高い魂と猥雑さの同居、共有が私の心のツボなのだ。

『ベンゴ(復讐)』というタイトル通り、あるファミリーの間に起こる抗争が軸になっている。血縁に対する愛情が深くて濃い。何故そこまで愛せるのか、と、ヒリヒリ痛いくらいだ。ギリシャ悲劇を連想させるような物語。

最後はやはり「道」だった。突然、真っ暗闇の道を車のヘッドライトが照らして行くシーンで終わる。レメディオス・シルバ・ピサの「Naci En Alamo(私はアラモで生まれた)」がそこに流れる。
トニー・ガトリフが撮る「道」は、この先も続いていくのだろう。

で、個人的には最近スペイン映画にヒットが多い。
『オールアバウト・マイ・マザー』のペドロ・アルモドヴァルはもとより、『どつかれてアンダルシア(仮)』('99)はなんと『ハイル・ミュタンテ!電撃 XX作戦』('92 しかもこれアルモドヴァルのプロデュース作品!)と、『ビースト獣の日』('95)を撮ったアレックス・デ・ラ・イグレシア監督作品。初の英語作品『ペルディータ』('97)もとってもけったい。
今どきこんなパワー全開、なかなかないよ。どの映画も、色彩感覚が異常に過剰に濃ゆくて好き。そして熱い。暑苦しいくらいに。