DoubleMintGum

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映画『初恋のきた道』

2000年/中国・アメリカ(原題・我的母親父親)    

監督/張藝謀(チャン・イーモウ)

        この作品の中で章子怡(チャン・ツィイー)は自分の人生において一番輝いている時間をフィルムに残している。男性監督が女優に惚れ込んだ時、このような奇跡に近い瞬間が撮れるんだよなー・・と、山道をピョコピョコ飛び歩く章子怡を見ていて感動した。
しかし、これはかなり「オヤジの願望」が感じられた。芯の強さはあれども、無垢で純粋でなければならないのだ、永遠の美少女というものは。
       先に公開された『グリーン・デスティニー』('00中国・アメリカ。原題・臥虎蔵龍)での章子怡を見てしまった後だけに、ここでの彼女の美少女像はいまひとつ。
逆に『グリーン・デスティニー』を最初に見てこその『初恋のきた道』なのだけど。化けっぷりがよく判って、凄い。章子怡の「初々しさ演技」に涙も流れてくる・・でも『グリーン・デスティニー』での、自分の意志と自由が欲しくて体に纏わりつく因習を切り捨てたくて、もがいている彼女は魅力的だった。
舞踊で鍛えられた小さな細い体から繰り出す武術の美しさも、すべてこの少女の放出する情熱の脇役だとすら思えた。
最後の最後まで自分の行く道を他人に委ねなかった主人公のほうがこの「俺の理想の美少女」よりは納得出来る。
       『初恋』は、なんかこう、カメラの後ろで、スクリーンの前で「オヤジ願望」に浸っているオヤジ達の顔が浮かんできちゃうような感じ。
ま、彼女には今後も おおいに化けていって欲しいですね。かつて、鞏俐(コン・リー)が体現してきた張藝謀世界の女達の呪縛を彼女は飛んでしまうのかもしれない。
       そうそう、美少女ついでにもうひとつ。
「陽光少女」(香港飲料水メーカーのCM)のステレオ・タイプの美少女像を逆手にとった『喜劇之王』('99香港) での張栢芝(セシリア・チャン)の造型は、実に痛快であったし『星願』('00)のグシャグシャの泣き演技もよかったねー。粗製濫造を生き抜いて、擦り切れないで欲しいもんだよー・・。

   

        それにしても中国と印度は「え、まだいたんだ、こんな人材」と驚かしてくれる。やはり層が厚いからでしょう。
張元監督の『ただいま』('99中国・イ タリア。原題・過年回家)主演の李冰冰といい、婁[火華]監督の『ふたりの人魚』('00中国。原題・蘇州河)の周迅といい。私は昨年見た陳果監督新作 『榴[木連]飄飄』('00香港)に主演してた秦海[王路]がお気に入り。
彼女は今年の香港電影金像賞の主演女優賞と新人賞にノミネートされ、見事新人賞獲得。章子怡と同じく、北京電影学院出身の趙薇(今更説明の必要もないかもしれないが・・瓊瑶原作の台湾TVドラマ『還珠格格』のヒットで、2年位前に香港で大ブレイク!!)には、どーもあまり魅力を感じないのです。
この点は張藝謀と同じらしく、彼も「趙薇はテクニックに走りすぎで、オーバーアクションだ から嫌い」らしい。

   


       初期張藝謀作品の持つ、強引でありながら繊細な熱、色彩感覚は今でも強く息づいているし、演出も的を得ていると思うがそんな好きじゃない映画。
       『秋菊の物語』('92)での鞏俐は、あまりにリアルな野暮ったさだったが、章子怡が着るとただの農村ファッションも可愛く見えてしまうから不思議。もっこもこの綿入れもキュート。つい真似して、おさげの髪を毛糸でまとめてしまったり、家の襖や障子紙に中国切り絵を貼付けてアジアン・テイストの雑貨生活、なんて今どきの潮流にも受け入れられまするな。