1989年6月4日
あの時の事をかなりハッキリと覚えている。
漫画の原稿を描きながら、土曜日の夜中にやってた『いか天』*1を見ていた。
生放送だったからね、番組の途中ですが、と急に映像が変わりそこで中国の人民解放軍が天安門広場に集まった学生たちを武力弾圧しているというニュースを知った。
番組はその後いつも通りの内容で進行していた。
「今の何だったんだろう」
中国の民主化運動の事を何も知らない21歳の時だった。
今起こっているはずの事がすぐには信じられなかった。そもそも政治もアジアの近代史も全く分からなかった。
たった今見た戦車の映像がすぐにバンドの演奏に変わり、私は夏コミ用の原稿に追われていた。そしてこれが私にとっての「何かを考えるキッカケ」だったのかもしれない。
ドキュメンタリー映画『天安門』を見に行ったのはそこから更に8年が経ってからだった。
その頃には私もアイヌ、沖縄米軍基地、部落解放、在日、フェミニズム、特に日本の侵略戦争に関して、なんとか少しづつ知っていこうとしている途中だった。それまで「知らない」でいられた特権とマジョリティ故の己の傲慢さにまでは思い至っていなかったよ…。
今見たほうが、当時よりはもうちょっと何かしらを感じる事が出来るのかもなぁ。
今年係六四事件三十周年
この映画は1997年7月1日に英国から中国へ「返還」される香港でも単館ではあるが、ロングラン上映をしていた。
事件後には毎年6月4日に銅鑼灣の維多利亞公園で六四デモが行われた。もちろん今年も。
「植民地」から「特別行政区」になった香港にしばらく通い、生活し、喋って食べて映画を見て写真を撮ってブラブラして日本に帰ってきた私は、いまだに雨傘革命について何も言えないでいる。
その時現地に居なかったから中環にも金鐘にも旺角にも居なかったから。でもあるけど、この気持ちをまだ言語化出来ない。
「逃犯條例」にはもちろん反対している。
ちなみに廣東語ではみんな送中と言っているが、発音が送終と同じなんだわ。
中国本土へ容疑者引き渡し 香港 あくまで成立目指し対立深刻 #nhk_news https://t.co/hF6E6BstKV
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年5月31日
What happened in Tiananmen in 1989?
— AFP news agency (@AFP) 2019年5月31日
Click here -- https://t.co/3S66Nb0qZK -- for @AFP's interactive graphic on Beijing's deadly crackdown on China's fledgling pro-democracy movement pic.twitter.com/EKbX72sxrU
Voices from Tiananmen: Eyewitnesses look back to the spring of 1989 https://t.co/SWT1HJFcXx
— LIN 욘욘슨 (@linlinsz81) 2019年6月2日
30年前に虐殺された学生たちや市民の側に立ち反対声明を出していた香港の著名人芸能人も、そのほとんどが今は殺す側の権力に寄り添っている。そうしなければ映画にもテレビにも出演出来なくなるからね、黄秋生みたいに。
達明一派は新曲を出したらしい。
『十年』の歐文傑監督の新作短編。⬇︎6月4日の夜まで配信中。
由金像導演歐文傑監製、王宗堯主演,梁國雄、何俊仁、陳志全、黃之鋒、陳清華、舒琪、莊梅岩等現身受訪,穿插89年真實片段以及30年各種影像記錄,2019全新短片平台「一丁目」首作《六四被忘錄》,優先場及首映全數爆滿,現足本版由6月2日晚9時起至6月4日晚上,作全港限時公開播放,欲看從速!
30年前の6月4日と30年後のこの6月4日が、確かに繋がっているなーとしか言えないんだ。
移民した中国人作者のゲイ小説であり、80〜90年代の北京を描く中で六四事件を避けて通らなかった小説としても『北京故事』を忘れる事は出来ない。
*1:『いかすバンド天国』ですよ、アレですよ。