『異邦人たち』
2000年/香港・日本(原題・有時跳舞)
監督/關錦鵬(スタンリー・クワン)
日本、台湾、香港の映画製作人が集ったプロジェクトの一環として作られた作品・・なのだが、結局はそれぞれが独立した形での上映になったみたいだ。
ちなみに日本は岩井俊二、台湾は楊徳昌(エドワード・ヤン)で既に公開された『ヤンヤン夏の思い出』。
この『ヤンヤン』の日本版劇場予告を岩井俊二が編集していたり、『異邦人たち』のラストでも、スペシャルサンクスとして二人の名前がクレジットされている。
20世紀末、香港の離島、蜉蝣洲島に訪れた男女。謎の伝染病の発生とともに島は隔離されてしまう。取り残された7人の、14時間30分の物語。
前作『愉快楽愉堕落』（邦題・ホールド・ユー・タイト）のように、時間軸が前後していく構成。
どのようにも取れるが、ゲイやレズビアンを思わせる人間関係。
監督自身がカミングアウトしたのは5年前、英国のTVドキュメンタリー作品『男生女相』の中でだった。(この作品は、'98の東京国際映画際にて上映され、その後'00の第9回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映。私は後者の方に行ったけど、大入り満員だったなー)
以後、ふっきれたかのように、やっと撮りたいものを撮ろうとしている・・と感じた。
見る人によっては「展開がたるい」らしいが、島の雰囲気、張淑平の美術、音楽と相まってなかなかいいぞ。個人的に、舞台となった香港のラマ島が大好きなので、島の風景が全く違うものに見え楽しい。
音楽にジミー・ソマービルを使用している。そう、英国の'80年代ゲイ文化を担ったあのコミュナーズの元ボーカルである。覚えていらっしゃいますか?このセンスだけで気に入った！
ちょっと意表をついたキャスティング、桃井かおりがよかった。今まで私の中では印象が薄かった李嘉欣(ミシェル・リー)も頑張ってたな(余談だが、昨年『愛情白麺包』ロケ中の彼女と中環にて遭遇したよ！)いつ、どんな映画に出てもさりげない存在感の金燕玲(エレイン・ジン)と、女性陣大健闘。
