めっちゃ怖いと評判の
『ヘレディタリー』を見てきた。
邦題に『継承』とついているので、何だよそれ葉問かよ、と思ったら…映画を見たらなるほどねでした。
以下ネタバレありの感想をダラダラと書きます。
まず「これ『ウィッチ』じゃない?」と思いました。
(あ!今調べたら『ウィッチ』と同じA24の製作だ!)
森に住んでる悪い魔女っていうのはさ、コミュニティから追放された女たちのシェルターじゃん。
— LIN 욘욘슨 (@linlinsz81) 2017年8月12日
は、そうか、これは「家父長制の呪い」を描いていたのか。
— LIN 욘욘슨 (@linlinsz81) 2018年12月5日
祖母、母親、娘が生首を捧げて継承しなければならない「家父長制」の象徴を描いていたのかな。
女がその身を全て犠牲にして「家」と「家族」を存続させる意味とは?そのグロテスクさが生温い風になってずっとまとわりついてくるような映画だった。
ミニチュアドールハウスの中で展開される光景、という入れ子の中の物語。冒頭からそれがわかっていたけど、個人的に一番身につまされたシーンは夕食時に母親が息子を詰るとこかな…多分、この母親も自分の母からこういう風に詰られてきたんだなーと。
自分が言われて一番きついつらい苦しい言葉を相手に投げつけるもんなんですよ。どれだけ相手にダメージを与えてやろうかと思って言う言葉は、かつて自分が言われて最も傷付いた言葉なんですよ。それを教えてくれるのは身近にいる親や家族。
「お前みたいな馬鹿は私の子どもじゃない。橋の下から拾ってきたんだ」
「こんな馬鹿を産まなきゃよかった」
「じゃあなんで産んだの?こんな親から産まれてこなければよかった」
これだけは絶対に言ってはいけない、と分かっていても言っちゃうんだよね。あの瞬間て自分の中に鬼や悪魔というものがいるんだなーとはっきり感じますね。
それをまざまざと見せてくれてました。私は今でも、理解はするけど親を許せないのでますますツライ。
途中でふと、『君はひとりじゃない』がよぎったりもしたけど。
ポーランド人はブラックユーモアが好きなんです。映画『君はひとりじゃない』監督インタビュー https://t.co/fBCbZpjNT5
— LIN 욘욘슨 (@linlinsz81) 2017年8月11日
女は、自分の体が自分の意思に反して(この映画で表現されているように)「入れ物」「器」「物」として扱われることが多くて、そういうものだから仕方がないって刷り込まれて生きているじゃない。その感覚って男性には分からないんだろうなーと感じるんだけど、その具体的な恐怖をこうやって見せたか、と。
長男は「入れ物」にされるため、自分の体から追い出される恐怖をじわじわ味わう。
この辺は『ゲットアウト』を思い出しました。
スケッチブックを暖炉に投げ入れたら父親が燃え出した辺りは「え?そっちかよ!」とツッコミつつも『テルマ』を彷彿とさせてくれたんだけど、ちょっとあまりにも後半ドタバタコメディー調にも見えて…壁を這い回り宙に浮き、自分で自分の首を切り落とすとか、ええええええええなぜ急に笑わせにきたの?!まあはたから見たら滑稽なものほど当事者にとっては恐怖なんだけどね。
それもこれも家父長制という呪いを継承させる事の愚かさ、アホらしさ、そして恐怖だったのか。
一番怖いのは家と家族と家父長制だった。
にほんに生まれ育った俺は知ってる。都心の一等地の広大な敷地内でおぞましい「継承」を続けている、とある「家族」がいることを。
断ち切ろうぜ、ぶっ壊そうぜ、燃やそうぜ。
なんて生温い感想を書いていたら、
「ヘレディタリー」女性、特に母という存在に対する圧倒的不信感(生まれた事について父親無視で母親だけ批難する典型例)男性のほぼ徹底した被害者的立ち位置(事故自体よりむしろ苦悩重視)。女性嫌悪は男性の被害者意識とセット。典型的すぎてダサい。おめでとう、お前が2018年のワースト映画だよ。
— ゼロモチベーション済藤鉄腸 (@GregariousGoGo) 2018年12月10日
済藤さんがぶった斬ってた。
なるほど…