DoubleMintGum

I'm a Feminist,Shipper,Slasher and Fan girl.

Double your pleasure Double your fun,With Doublemint Doublemint gum.

この呪いはいつまで続くのか

Sorry we missed you.

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やっと見てきた。

www.instagram.comまたとんでもない日本語タイトルつけちゃってるなー。これ原題の『Sorry we missed you』が宅配の不在通知の一文だからこそ、なのになー。いっそ日本語タイトルでも『不在通知』とか『再配達』とかにすればよかったのに。いや、それもダサいか…。

感想というほどのものではないいつもの日記だけど、今回もしんどかった。
見終わってからネットでいくつかの感想文を読んでみたが「いや、日本の労働環境のほうがもっと悲惨」「うちはこれより酷い」的なのを散見してそれ以上探すのはやめようと思った。

⬇︎記憶に新しいのはこのニュースだ。

blogos.com⬇︎この日記の中でも貼ったこれも…

linlinsz81.hatenablog.com

japan.hani.co.kr電通の女性社員が過労とハラスメントで自死した事件の時に、知人が「たった100時間の残業で死んじゃうなんて。あれは彼女が特別弱かっただけ。私はもっと残業してるし1日3時間くらいしか寝てない」と言った。
もちろんそれはそれで大変な事だししんどい辛い、でもそこで分断されてマウントを取り合うのは…どちらも同じ「自分事」だよー。そう思ったもののその時は何も言えなかった。

linlinsz81.hatenablog.com

linlinsz81.hatenablog.com

 「家族」という幻想はいとも簡単に壊れるし、安定した収入や生活というものはない。それが崩れた時に助けてくれるものはなにもない。
ダニエル・ブレイクの時にも「なぜこのシングルマザーを主人公にしなかったのだろうか?」とか、今回の映画でも「なぜ妻のほうを主人公にしなかったのだろうか?」という気持ちはあった。
最初のエピソード(妻が仕事で使う車を売って、夫の仕事用のバンを買う)や、とにかく持ち家が欲しいという明らかに「男の見栄」や「男の意地」の醜さをもっと際立たせてもいいんじゃない?とも思った。
でも、中年女性と高齢女性の繋がりやバス停で声をかけてくれた女性のような描写。警官が高校生たちに「君は女の子なのにそんな事をして」的な事を言ったら「それはジェンダーに対する偏見だ」と男子高校生が言い返したりする描写。
ケン・ローチの年齢を考えれば、83歳の男性にこれができるんだからこの程度の価値観をきちんと作品に反映できていないクリエイターはかなり自分自身の更新を怠っているのでは??って感じちゃうなー。

wotopi.jp

wotopi.jp

www.cinra.net

www.huffingtonpost.jp

しかし最初の配達用のバンを買うっていう所、ヴィットリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』を思い出してしまった。
あれもしんどかった。今思い出しても心臓がぎゅうううーっとなるくらい、つらい。

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なんつーか、仕事がない、給料が入ってこない、食べるものがない、家がないという恐怖は子どもの頃からずーーっとわしに付き纏う現実なので冷静に「鑑賞」できないのかもしれん。
本当にわしには「家族(この場合は血縁と言ったほうがいいのかな)」という概念がないというかなぜそこに皆が重きを置くのかが全く分かっていないんだなーと、最近特に感じる。
いや、建前上は理解しているし普段の仕事や生活の中でそれを理解していて共通認識としてちゃんと持ってますよーっていうテイで話はしてるけどね。
昔色々大変な局面に立って、これはもう真剣に死ぬことを考えなければっていう所まで追い詰められた時にサラッと「誰か助けてくれる親戚とかいないんですか?いるでしょ親類が」と素晴らしいアドバイスをもらったわ。
「ああ想像もできないのだろうなこの人は。家族も親族もいない人間がこの世に存在するって」

血縁や家族という呪いからは逃れられない、そこから逸脱したら死ぬ(殺される)んだなー。

 ⬇︎そして『寄生虫』を見た時にモヤモヤした自分の気持ちを言語化してくれた記事。

news.yahoo.co.jp

「だが一方で、韓国でも日本でも(そして世界中のどこであっても)、血縁家族への回帰が処方箋になることはないだろう。」

 それな!!!!

『寄生虫』のラストは、ま、まさか??と思わせておいて更にどん底に突き落とす。作劇としては非常に素晴らしい終わり方だったし、あれだけ面白がらせておいてもう一段階地獄を見せる、とんでもないホラーでよく練られている。上手いなーと思う。

でも観賞後に嬉々として「考察」を始める人々を含めて、この消費の仕方にモヤモヤを感じたのかもしれない。

すぐ「何かを考えるきっかけになれば」って言うタイプが好きそうな映画だなーっていう部分も含めて。